ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~

 朝食を食べ終えた二人は、石畳の大通りを歩き始めた。

 ただ歩いているだけなのに、すれ違う人、両脇に店を構える商人――皆こちらを振り返る。
 人々から注目されて、ビオレッタはやっと思い出した。

(そうだ……隣を歩くこの人は、世界を救った勇者様だったのだわ)

「勇者様、あの時は本当にありがとうございました」
「勇者様、うちの店にも寄ってって下さいね」
「勇者様、おまけするから見ていきませんか」

 数歩進む毎に街の人から声をかけられ、なかなか進むことが出来ない。それだけラウレルの人望があるからなのだろうが――彼もにこやかに手を振ったりして、じつに堂々とした振る舞いである。

「勇者様、隣の可愛らしい方は恋人ですか?」

 そんな中で、突然ビオレッタにも話を振られドキリとした。
 実は先程から、自身にも視線は感じていたのだ。きっと皆、ラウレルの隣に並ぶ女が物珍しいのだろう。

「いえ、恋人というわけでは……」
「結婚を申し込んでいるのですが、首を縦に振ってもらえなくて。頑張っているところなのです」

 ビオレッタが咄嗟に否定しようとしたところを、ラウレルはというと包み隠さず街の人々に暴露してしまった。