「はぁ。ホント、どこが良いんだか」
私が一番確認したかったことは、晴海ちゃんにとって害になるようなことがないかと言うことなので、とりあえずクリアしている。
今回の問題は、単純に陽兄の恋愛偏差値の低さだ。
昔は俺様で、ぶっきらぼうなところが強くかっこいい、キラキラしたヒーローに見えていた。
いまは、ただの不器用で、ヘタレで鈍感な男である。
「いや、だからっなにもしてないぞ!?」
「あーわかった、わかった。それとなく聞いてあげる」
わーわーと顔を赤くした陽兄。
晴海ちゃんが困っているなら助けてあげたいと思うのは当然のこと。
「ほんとか!? あとで好きなモノ買ってやる!」
「ま? じゃあ、KEKEの限定コスメ! 欲しかったんだよねー」
「あー・・・解決したらな」
「・・・」
「と、とにかく。頼んだぞ!!」
陽兄はそう言うと、足早に部屋から出て行った。
「はぁ、ほんとお子様なんだから。ま、でも、晴海ちゃんも負けず劣らずだからちょうどいいんだろうけど」
晴海ちゃんは、可愛くて、ほんわかした雰囲気で同じ女子の私から見ても、守ってあげたくなる女の子だ。
陽兄は子供の頃から運動神経だけは良くて、クラスの中心にいるようなタイプだった。
ただ、あまり勉強は得意ではなく高校進学が危ぶまされた時に現れた救世主は晴海ちゃんで。ご近所と言うこともあって、晴海ちゃんは勉強を教えるようになり・・・単純な陽兄が恋に落ちてしまうのも自然の流れといえば、そうかもしれないけど。


