零くんはタクシーに私を乗せると、

交差点を曲がるまで見送ってくれた。


─タクシー代までもらっちゃった。


─同じ大学生なのに。


─今度お返ししなきゃ。


タクシーに揺られていると、

醒めたと思っていた酔いが

回って吐きそうになった。


マンションの前に着くと、

吐くのを必死に堪え、タクシーを降りた。


エレベーターに乗り、無心で部屋の前まで歩く。