「まだ開けちゃダメよ?」

車は停車したみたい。でもまだ開けちゃダメなんだって。

ドアの開閉音がする。勇里さん降りたのかな?

そう思っていたら、助手席のドアも開いたみたい。そして…。

「目を閉じたまま、ゆっくり降りて。段差あるから気を付けてね。」

言われるがまま、ゆっくりと降りる。そして、勇里さんに腕を引かれて歩く。

優しい風が前髪を揺らして、暑さもあるけれど心地良いのはきっと。

「いいわよ開けて。」

目を開けると、そこに広がっていたのは。