「…好きだなぁ。でも、勇里さんは…。」

男の人が恋愛対象。

失恋決定なの分かってるけど…。

「…海果ちゃん?何してるの?」

……っ⁈

椅子に抱きついて目を閉じていたら、勇里さんが戻ってきた。

今、私、すんごい恥ずかしいんだけど!!

バッ!と椅子から離れて、膝の上に手を置いて俯いた。

「あ、いや、えっと、その…。」

「運転席、良い香りでしょ。アタシ香水つけてるから、匂い移ったのね。ふふ。」

チラッと勇里さんを見ると、嫌な顔ひとつしてなくて、優しそうに微笑んでいた。

「気に入った?」

そう聞いて、運転席に腰を下ろす。
私は何度も大きく頷(うなず)いた。