「おねーちゃん」

「とき」



さのは生まれた時から俺にとっておねーちゃんで、絶対に越えられない存在で、いい意味でも悪い意味でも、俺にとっておねーちゃんだった。

結局、家も近いし従兄弟なわけだからずっと一緒で、さのに特別な感情を抱くことも、早いものだった。



「うわぁーん、う、うぇ…うぁ…っあーん」

「とき?なんで泣いてるの?」

「きんじょの、りつくんが、おまえはこっちくんな、って。おれも、あそびたいのに…」



よくわがままを言う俺を、さのは怒りもしないでいつも優しいまんまだった。

「おねーちゃん」と呼んでいたのは、母さんに言われたからだったが、きっと、小学生からは、恋心として自覚したくなかったからだと思う。

本当に、ばかだよな。