「ねー悠衣!」

「なに?」

授業が終わってから真菜が話しかけてくるのは日課だ。

何せ、私の後ろの席なんだから。

「うちの隣の席の逢川っていんじゃん?」

「ああ、いるね」

「そいつさ、結構話してみたらノリ合うんだよね!」

逢川優河。

このクラスのいじられキャラだ。

「だから授業中あんなに話してたのか」

「あれ、聞こえてた?」

「聞こえてたよ。逢川は私の後ろの席でしょ」

「それもそっか」

「逢川と話したことある?」

「まぁ…一回隣の席になったし」

「!そっか!」

そう、私は一回逢川と隣になったことがある。

入学してから最初の席替えで、少しうきうきしたのを覚えてる。

「悠衣も話してみなよ!」

「…私はいいかな」

「何でー」

「めんどくさいから」

「もー…またそんなこと言って」

「だってあの人って陽キャじゃん。関わりたくない」

「…まぁ、人間に興味がない悠衣からするとそうでもないかー」

真菜がいった通り、私は人間に興味がない。

私は人間の“姿”を知っているから。

私の家は母子家庭で、昔親父が出ていった。

私は知っている。

人間は哀れだと。

また、この考えだ。

すぐに人間を否定する。

でも今更直せない

それか私が選んだ“生き方”だ。