そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 飯倉さんはお嬢さまだから、ここに居るのは理解できる。

 理解できないのは二人の関係。
 涼介さんの元カノが私の上司だったら、これから仕事がしづらいんですけど。

「ねぇ、挨拶行脚は終わったんでしょ?ならこれから四人でどこかでお食事しない?原口先生もお疲れだろうし」

 苦笑いで原口先生もうなづいている。
 どうやら原口先生も私と同じ気持ちのようだ。
 一刻も早くここから離れたい。

「そうだね。じゃあいつものべリが丘グランドホテルのラウンジにするか」

 私たちが歩きだした時だった。

「あら、なんだか変な臭いがすると思ったら、ドブネズミだわ」

 ……間宮さん。

 彼女のお父さまは新聞社勤務だけれど、お母さまは旧家、確か華族の出身だと涼介さんから聞いている。
 それで、間宮さんもここに。

「何ですの?ドブネズミがドレスを着てますわっ!」

 大きな彼女の声に何事かと、歓談していた人達の視線が集まる。

「名門阿久津家の次期当主である涼介様のお相手が、ドブネズミだなんてぇ」
「何を言ってるんだ、ルナ。止めないかっ」
「いいえ、絶対やめませんわっ。涼介さんがこの女と別れない限り絶対にっ!」

 次第に私たちの周りに人が集まって来る。

「みなさまぁ~。どうかお聞きくださいませっ。涼介さんの隣で令嬢づらしているあの女。実は、夜職出身の女なんですのよぉ」

 あたりがざわつき始めた。

「涼介君はクラブのホステスをここへ連れて来たのか?」
「夜職って風俗のことかしら?」
「嫌~~。涼介様すぐその女から離れてぇ~~」

 まさか、本当に探偵を雇ったの?

 どうしよう、涼介さんの立場が。

「すぐに出て行きなさいっ!汚らわしいドブネズミっ!」