そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 パーティー会場のホテルはツインタワーの住居棟から車で三十分程の所にあった。

 今日はべリが丘グランドホテルじゃないのね。
 あそこは行くことが増えて慣れてきたから、そっちが良かった。
 パウダールームにだって迷わず行けるようになったのに。

 案内された広いお庭には桜が満開。
 カクテルグラスを持った人たちが楽しそうに歓談している。

 本当にここに入るの?
 会場の入り口で尻込みしてしまう。

「美里」

 涼介さんが腕を差し出してくれる。

「…はい」

 彼の腕に私の腕を通した。
 
 ゴクリと唾を飲み込む。
 来てしまった以上、覚悟を決めるしかない。しかもここには涼介さんの仕事の関係者の方たちが沢山いるのだ。彼に恥をかかせるわけにはいいかない。
 
 胸をはり笑顔を作る。

 すぐに涼介さんに声がかかる。次から次へと。
 私は会話に入れないから、最初と最後だけ笑顔で挨拶を繰り返す。

 帰りたい。それが本音だった。

 挨拶もひと通り済んだようで、彼は会場の隅にある軽食コーナーへ私を連れて来てくれた。
 
 思わず大きく息を吐いてしまう。

「疲れさせたね」
「平気です」
「無理しなくていいよ」

 初めてなのに、よく頑張った。と彼は褒めてくれる。

 ベンチに座っていると、「はい」とグラスを差し出された。

「お酒はキツイだろうから、水にした」
「ありがとうございます」

 受け取ると、自分でも気づいていなかったのか、喉の渇きに襲われ、グラスの水を一気に飲み干してしまった。