そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 そして──。

 無情にも経済界の春のパーティーの日が来てしまった。
 どんなにこの日が来ないことを願ったか知れない。

 髪は以前行った、べリが丘グランドホテルの美容院。担当は春山さん。
 ドレスに合うようにアップにしてもらった。

「襟足を少し遊ばせたほうがおしゃれなんだけど、今日はきちっりしたパーティーなんだよね?」

 彼は、手際よく私の髪を結って行く。

「朝から緊張して、震えが止まりませんよぉ」
「大丈夫?やばくない?」

 ヤバいんですって。マジで。

 ドレスは最初のピンクと白のもので決まった。レースは少し派手らしい。

 春山さんにドレスの写真を見せたら。

「へー、美里に似合ってるじゃん。これ涼介ちゃんが選んだの?」
「はい」
「やっぱり彼、センスいいわ~」

 などと感心している。

 涼介さんも春山さんの顧客らしい。

 よかった、スーツ選ぶの拒否していおいて。と内心でホッとしてしまう。
 私が選んでいたら、きっとぼろくそだ。

「どうしたの?美里。下向いて」
「いや~、この前、涼介さんにスーツを選んで欲しいって言われたんですけど。断って正解かなって」

 春山さんは難しい顔をする。

「センスは生まれついてのものもあるしね。涼介ちゃんに、変な恰好させたら僕が許さないからねっ」

 やっぱり。
 
「だからね、スーツは拒否して部屋着を選びました」

 部屋着なら、どんなにクソでもいいけど。と、春山さんは笑ったのだった。

「今度、その部屋着の写真送ってよ」

 ん?

「嫌です」
「どうして?」
「誰にも見せたくないから」
「ちょっと、美里。変な恰好させてないよね?」

 う~ん。多分。

「パーカーとスウェットパンツです」
「へ―彼そんなの着ることあるんだ」

 じゃあ、今までどんなの着てたわけ?

 さりげなく聞いてみたら、「もっとおしゃれ」とだけ返されてしまった。

「春さんも、そうなの?」
「僕は、スエット上下」
「なによぉ。変わらないじゃん」
「涼介ちゃんは特別なのっ。写真送ってねっ」
「嫌です、絶対」
「生意気な小娘っ」
 
 たった二回目の来店で、私たち随分仲良くなたみたい。