「えっ!?パーティ…ですか?」
「そっ。春と秋に毎年行われる経済界のパーティー」

 たしかテレビで放送していたのを見たことがある。
 春はどこかのホテルだった。桜の下で大勢の人たちが集まって、楽しそうに歓談している映像だった記憶がある。
 秋は紅葉がみごとな庭園だったかな。池があって庭の木々が紅葉していて、そこでパーティーが開かれていたような?

 そこに私が?

「絶対無理です!」
「美里…」

 小さいため息が聞こえた。

「俺と付き合うってことは、そういう事だって前にも言ったよね?」
「そうですけど、いくらなんでも急すぎませんか?」
「パーティーは俺が決めたわけじゃない」

 それも分かってる。
 だけどテレビ局が入るような、そんな大それたパーティーで、どう立ち回れたいいか分からない。
 ただただ座っているだけの、結婚式しか出たことないのに。

「大丈夫。俺がいるから。ねっ?」

 これが私を紹介するいい機会だと彼は言う。
 人脈を作り広げることも、仕事のうちだと言われてしまえば嫌とは言えない。

 知り合いのいないパーティーなんて。
 不安ばかりが募るけれど、これからもそんな機会が増えるのだと思えば、いずれは出席しなければならないのだから。

「じゃあ、ずっと側にいて下さいね」