そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 近寄ってみると、店員さんが教えてくれた。

「味もビター、ミルク、ホワイト、ブロンド、ルビーと五種類入っています」
 
「わぁ、これいいかも。可愛いし、美味しそう」

 きっと飯倉さんも気に入ってくれる気がする。

 最近日本に上陸したばかりの商品らしく、長い行列が出来ている。

「これにします。涼介さん、並んでもいいですか?」
「もちろん」

 その時、店員さんが。

「阿久津様、すぐにご用意できますが」

 すると涼介さんは首を振った。

「こんなに並んでいるのに、僕らだけ特別では申し訳ない。ちゃんと並びます」

 私の手を引いて列の最後尾へと移動したのだった。

 涼介さんって、そこまで特別扱いしてもらえる人なの?
 思わず彼を見上げてしまったら。

「ん?何?」
「あの店員さん、涼介さんのこと知ってましたね。顔を見ただけで阿久津様って」
「あれ、焼きもち?」
「違いますよっ」

 だけど、ちょっぴりそれもあるかも。

「ここには良く来るし、最近あのチョコ買ったんだ。客先に持っていくのにね」

 本当に客先かしら?
 だって、涼介さんと仕事で会う人は、たいがい役職が上の人たち。そんな人たちにこのチョコ?
 可愛すぎない?

 …私はハッとする。
 別に彼とはそんな関係じゃないんだから…自分に言い聞かせる。
 
 大好きなのに、大嫌い。
 相反する感情がいつも私の心にあるから、苦しい。

 苦しいのに、どうにも出来ないもどかしさ。
 虚しくて、悲しくて、いつも心の中に大きな塊がつかえているみたいだった。