そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 夜桜見物を終えた私たちは、深夜も開いているカフェで過ごしていた。

 この街に詳しい涼介さんの案内だ。
 
 レトロな雰囲気のカフェの壁には古い鳩時計がゆっくりと時を刻んでいる。

 春とは言え夜は少し冷える。そんな体をカフェオレはほっこり温めてくれる。

「素敵なお店ですね。レトロ調大好き」
「美里なら絶対気に入ってくれると思った」

 そう、ですか…?
 
「君の荷物に古い鏡やフォトスタンド。それにランプもあっただろう?」

 ああ、それで。
 引っ越しの荷ほどきを手伝ってくれたっけ。その時に見たんですね。

「涼介さんも好きですか?レトロ」
「もちろん」

 彼の部屋には掃除で入ることがある。
 洗練された、現代風のインテリアが多かったと思うけど。

「部屋のレイアウトはインテリアデザイナーに頼んで、コーディネートしてもらったんだ。仕事が今っぽいから現代風が良いって言われたんだけど、本当はレトロ調の方が好きなんだ」

 湯気の立つカフェオレに彼は口をつける。

「そのデザイナーは仕事もプライベートもイコールなほうが精神に良い影響を与えるって考えの人でね。だけど俺はノットイコールのほうが、区切りがついて落ち着く気がするんだ」

 それは分かる。

 仕事がプライベートの延長上にあるのは疲れちゃうと思う。
 はっきりと線引きしたほうが私も好き。