そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 季節は廻りもう六月の半ば。

 急ピッチで進められていた、飯倉さんと原田先生の結婚式が行われた。
 
 親しい人を招いたガーデンウェディングだったけれど、それでも招待客は二百人を超えている。
 交友関係が広い二人だからだろう。

「これでも招待客、絞ったつもりなんだけどね」

 梅雨の晴れ間。青空の下で飯倉さんの白いドレスが良く映えていた。
 私は以前涼介さんに買ってもらった、桃色のレースのドレスを着ている。

「ねぇ。もう私、飯倉さんじゃないんだけど」
「あっ、すみません。えっとなんてお呼びしたらいいですか?」
「そうね冬子さんでいいと思う。私は美里って呼ぶわ」

 ちゃんづけしないところが、飯倉さんらしい。
 って、冬子さんか。

「二度目でもドレスは着たくなるもんね」

 最初、結婚式はしないと言っていた冬子さん。
 けれど、原田先生の付き合いもあるからと渋々式を承知したらしいのだけど、いざ式場周りをしていたら、ドレスが着たくなったらしく、その後はむしろ積極的にお料理とか、会場に飾るお花とか、原田先生のタキシードとかを決めていったそう。

「結婚はこれが最後にしてくれよ」

 涼介さんだ。

「あら、おめでたい席で嫌なこと言わないでよ」
「そうですよ」
「おいおい、早速連合か?」
「楽しそうですね」

 挨拶周りを終えた原田先生が帰って来た。

「新婚旅行はイギリスだそうですね」
「ええ、彼女がビートルズのファンでして。アビーロードで写真を撮りたいそうです」
 
 ああそれで。

「で、あんた達はいつなの?」
「あー、俺たちはまだ先かな」
「あら、美里はそれでいいの?」

 意外だと言いたげな冬子さんの顔。

「はい。まだ彼にふさわしい女性になれていない気がして」
「そう。結婚は親の為にする必要ないし、いいんじゃない」
「そう言うと思ったよ」
「いかにも冬子さんらしいですね」

 
 六月にしては、空は澄み渡っている。

 きっと私たちの未来もこうであるはず。

 ねえ、涼介さん。

 私は、彼の腕にそっと自分の腕を絡めたのだった。


 ~FIN~