そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

「あっ、見て。流れ星」

 はるか水平線の先に光の帯が見えた。

「こんなに街の灯りが明るくて見えるわけないだろう?」
「本当ですって」
「結婚を誤魔化すための嘘だな」
「えっ、違いますよ」
「違わないっ」
「ちょっと、待って涼介さんっ」

 急いで彼を追いかける。

「ごめんなさいって、言うまで許さない」
「えー。なら絶対に言いません。だって本当だもの」
「こんばんは」
「あっ、こんばんは」

 コンシェルジュさんがいつものカウンターから離れて、生け花の手入れをしていた。

 私たちは揃って挨拶をする。

「本当にお二人はいつも仲がよろしいですね」
「そうですか?」

 ちょっと照れてる彼。

「羨ましいですわ。こちらのタワーにはたくさんのご夫婦がいらっしゃいますけど、きっと阿久津様ご夫婦が一番です」

 控え目に笑うコンシェルジュさん。

 あは、まだ結婚してないのだけれど。
 一緒に住んでいて、夫婦だと勘違いしているのは分かっていたけれど、彼も面倒だからそのままで良いと放っておいた結果だ。
 
 しれっと答えるのは涼介さんで。

「ありがとうございます。きっと今後も負けないでしょうね」
「まぁ」

 ホホっと彼女は上品に笑って、エレベーターのボタンを押してくれたのだった。
 
 チンと到着を知らせる音がり鳴り「どうぞ」と扉を押さえてくれる。
 お礼をいって、私たちが乗り込み、ドアが閉まりかけた時、「素敵な夜を」と彼女は言ったのだった。