そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

「へー、やっぱりセレブは違うわね」

 夜風にあたった楓の酔いはだいぶ覚めていたはずだったのだけど。

 エントランスホールを抜け、エレベーターホールへ。

 エントランスホールでコンシェルジュの女性に声を掛けられた時、楓ったら。

『お帰りなさいませ、阿久津様』
『阿久津さまぁ?美里ったら阿久津様って呼ばれてるの?ウケる~』
『すみません。ちょっと酔ってるみたいで』
『構いませんよ。お若いのですから。楽しそうで何よりです』

 内心ひやひやだ。
 明日、お詫びのお菓子を持ってこよう。

『いつもこの子がお世話になってま~す』
『楓っ!』
『何よ。ちゃんとご挨拶したんじゃない』

 この子ったら、普段も客先での飲み会もこんな調子なの?と不安になった。

 部屋の前まで来ると、涼介さんがすぐにドアを開けてくれた。

「いらっしゃい」
「あっ、どうも営業三課の三島楓です」

 急にかしこまるから、ぷっと吹き出した。

「どうぞ、入って」
「お邪魔します」

 一気に酔いが覚めたのかしら?