そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 自分で蒔いた種とはいえ、まさかこんなに大袈裟になるとは彼女も想像していなかっただろう。

「マスコミの恰好の餌食ね。美里は被害者女子社員Aってなってるよ」
「あは、そうなんだ」

 涼介さんや飯倉さんが話さなくても、私の名前は他の社員の証言なんかできっとバレてているのだろう。
 実名が出なくて幸い。田舎の両親が心配してしまうから。

「で、どう面白可笑しく報道されているわけ?」
「いくら忙しいって言っても、ネットニュースも見て無いわけ?」
「エゴサーチするほど有名人じゃないし」

 ひとつ残った焼き鳥に手を伸ばす。
 冷えて固くなっている。

「ざっくり言えば、お嬢さまがその筋の人間を使って女子社員Aを脅迫。恋愛関係のもつれか?ってとこかな」

 人の噂も何とやら。

「美里のところには取材とか来てないの?」
「ぜーんぜん」

 って、あ。まさか…。
 私を守るって。それで私を秘書に?

 いつも側で仕事が出来るって、単純に喜んでいたけれど。まさかそういうこと?
 
 T大法学部卒の才女や、原田先生にも話をしやすいって言ってた。
 何かあったら証拠を押さえて、すぐに法的措置を取れるように。

 彼の思いに気がついて、じわーっと胸が熱くなった。