そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

 耳を覆いたくなる程の大きな音に続いてスプリンクラーが働いて、天井から水が降り注ぐ。
 合わせて非常灯が点灯した。

「おいっ!ヤバいぜっ」

 男たちは慌てて走り出す。

「よ、良かった」

 私はその場に崩れ落ちた。
 スプリンクラーの雨はまだ止まない。

 そう、だ。
 ま、間宮さんは?

 ぼんやりとした意識の中で彼女を探す。

 い…た。
 間宮さんは大きな社長机の前に倒れている。

「起きれる?」
 
 彼女は泣いていた。
 ブラウスは破れていたけれど、それ以外は何ともないみたい。
 良かった。

「これ着て」

 スーツの上着を脱ぐと彼女の肩にそっと掛けてあげた。

 遠くで消防車のサイレンの音が聞こえる。

 そっか、消防車が来たんだ。

 消防車が──。

 私の意識はそこで途絶えたのだった。