そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

「誰かっ!誰かいませんかっ!」

 力の限り大声で叫ぶ。

「無駄よ。この階にあるのは社長室だけ」

 つっ。
 間宮さんが私の頬を叩いたのだ。
 突然のことに口の中を切ったみたいだ。血の味がする。

「あの時は痛かった。飯倉の成金に叩かれたこと一生忘れない。いずれあの女にも仕返ししてやる」

 悪魔の声だと思った。
 彼女の心はここまで腐っていた。

 涼介さんが自分のものにならないからって、こんなことするなんて。
 まともな人間とは思えない。

 だけど彼女は涼介さんが好きだった。
 こんなにも狂わせるほど、涼介さんを愛していた。

「可哀そうな人」

 自然とそんな言葉を口にしていた。

「何ですって?もう一度言ってみなさいよ」
「あなたは可哀そうな人だと言ったのよ」

 間宮さんの右手が私の頬をもう一度叩いた。

「私のどこが可哀そうだと言うのかしら?最高の家柄、みなにちやほやされる美貌。教養──」
「お嬢さん、そろそろ…」
「あんた達は黙ってて」

 お金で雇っているのだろう。
 この男らが彼女の言いなりになっているうちはいいのだけれど。

 自分の身を案じつつ、別の不安もよぎる。