そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

「ごめんなさいっ」

 がばっと二人に頭を下げた。

「私、今年で二十七になるんですけど、彼氏が出来たことなんてありません。馬鹿にされるのが恥ずかしくて嘘を言いました。本当は彼氏なんていませんっ。ごめんなさいっ」

 更に深く頭を下げたのだった。
 二人の顔は全く見えない。

 きっと怒ってるんだろうな…。特に間宮さんが。
 彼氏がいないことを、あれほど喜んでいたのだもの。

 でも、なんでここで私が謝るはめになったんだろう。納得がいかない。
 もとはと言えば、この二人が──。

「顔を上げて」

 阿久津社長だった。

「顔を上げて、吉永さん」

 促されて体を起こすと、そこには阿久津社長の優しい笑顔があった。

「本当のことを言ってくれてありがとう」
「えっ?はぁ…」
「嘘っ!さっき彼がいるって言ったじゃないっ!!」

 なだめるように社長は間宮さんをさとす。

「さっき吉永さんが言っただろう?恥ずかしくて嘘をついたって」
「それが嘘だって言ってるんですっ!探偵を雇って調べるわよっ!」

 ひえっ。
 探偵って、ものすごくお金かかるらしい。わざわざそこまでするの?
 って、違うのっ。だからどうして、私にそこまでこだわるのっ!?

「あの、訳わかんないんですけど…。探偵、雇って下さっても構いませんが、彼氏はいません。それに先ほどから、どうしてお二人は私の彼氏にそこまでこだわるんですか?」
「間宮、いい加減にしてくれないか。俺は彼女と話がしたいんだ」

 間宮さん泣いてる?

「探偵は雇います」

 そう言い残して彼女は社長室を後にしたのだった。