そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

「あーあ。今日は面白かった」

 グラスを傾けて言ったのは飯倉さんだ。
 私たち四人はべリが丘グランドホテルのラウンジバーにいる。

「さすがに言い過ぎじゃないか?」
「あら、そんなこと無いわよ。もっと引っぱたいてやれば良かった。あれくらいしないと彼女には分からないわ。きっと」
「まだ、分かってなさそうですよ」

 ククっと原田先生が笑う。
 
 確かに私も原田先生に同感だ。だけど、あんなことがあって明日会社に来るのだろうか?
 普通の神経なら、出社は無理だと思うけど。

「辞めないわよ、あの子。素知らぬ顔で出勤してくるんだから。さすがを通りこして呆れる」

 カランと飯倉さんのグラスの氷が音を立てた。

「でも、あの場にいた人たちを味方につけたのは、吉永さん」
「飯倉さんのお陰です。私なんてびっくりして黙っていただけですから」
「俺も冬子みたいには出来なかったと思う。ありがとう」

 涼介さんが頭を下げる。

「いいのいいの。可愛い弟の為だもの」

 えっ!?

 どうやら驚いたのは私だけ…みたいなんだけど?
 私の聞き違いだった?
 まだそんなにお酒飲んでいないんだけど、疲れて酔っちゃってるのかな。

「あの、飯倉さん。今何て?」
「うん?だから可愛い弟の為に、私頑張っちゃったわけ」

 聞き間違いなんかじゃない。

「あの、苗字違いますよね?」