ガンッ!!!と、運転席の窓の方からすごい音がしたかと思うと、一気に運転席の窓ガラスが割れた。

バリバリッ……!

と、聞いたこともないような音と共に。



「お、いけた」


「なっ、なんだテメ……ッ!?うぉっ、ぐぁ!」



運転席の男は、割れた窓ガラスから入ってくる腕を掴むと、そのまま噛みつこうとするけれど、掴まれたはずの腕が、なぜか男の体ごと、窓から引き摺り出されていった。


それも、身長が180はありそうなくらいの大きな男を、軽々、だ。


あっけに取られて見ていると、割れた窓から、男の呻き声が聞こえてきた。


な、何が……起きて……。


割れた窓ガラスをぼーっと見ていると、ガチャ……と後部座席のドアが外から開かれた。




「お、いた」



そんな水上の声とともに。



「え、み、水上……!?なんで……」



もしかして、私の必死な叫びが届いたのだろうか。どちらにしろ、水上が助けに来てくれたのだ。



「ったく、危なっかしいねぇ、お姫さんは」



体が硬直してしまって動かない私を、水上は軽々と抱き抱え、車から出してくれた。



「お姫さんの身に懸賞金がかかり始めたって情報が入ってきたから迎えにいってみれば、早速……」



のほほん、と効果音がつきそうなくらい緊張も何も顔に出ていない水上を見ていると、今の現場にさほど危険を感じなかったみたいだ。



「あ、あなたは……」



まだ震えの残る声で、私を姫抱きにする彼に問いかける。






「なに、もの……なの……?」





彼の耳につけられた金色のピアスが、妖しげに光った。