___週明け。


とうとう12月に入り、それはもう凍えるような寒さ。


「いってらっしゃいませー!」


「うん、いってきます」


それなのに、綾都はまだまだ別の仕事中だそう。

全く会えないし、連絡だってこないし。


浮本さんの事件以来、半強制的に綾都と繋がったラインも、一度もしていないから、トークルームは空っぽのまま。


伊吹くんとは、ちょこちょこ連絡取り合ってるくせに。


私のことはなんにも気にかけてないわけ?と、少しイライラした気持ちでスマホをポケットに直した時。



ヴーッ、ヴーッ___……。



ポケットの中で、スマホが一定の店舗でバイブを鳴らした。

で、電話?

こんな朝から、誰が……と、慌ててスマホを出すと、ディスプレイには"水上"の文字。



「………………え!?」



思わず大きな声を上げてしまった自分の口を、慌てて塞ぐ。

綾都が私に電話……?

もしかして、考えてたことがわかるっていう綾都の超能力……!?


あまりの驚きと緊張で震えてしまう手で、スマホを落とさないように注意しながらも、受話器ボタンを押す。




『___あ、生きてる』


「……はぁ?」



なんだか、拍子抜けした。

数週間ぶりに主人と話しての第一声が「生きてる?」って……。


私は綾都がいなくたって生きていけますよーっ、なんて言葉は我慢して。



「何の用?」


少しだけ声を冷たくしてしまう。