次の日。

今日は土曜日で休日だからと、お昼くらいまでベッドでゴロゴロしていると、部屋の扉がコンコンとノックされた。


「はーい」


いけない、そろそろ準備しないと。



「失礼します!おはよーございます夏芽さん!」



今日も太陽みたいな笑顔で顔をのぞかせてくれる伊吹くんだった。


慌てて起き上がって挨拶を返す。



「もー、昨日、僕本社に呼び出されて綾都さんにこっぴどく叱られたんですからー」



大きくため息をついて「怖かったぁ、綾都さん」と身震いする伊吹くん。



「それはほんとにごめんなさい。でも、港くんとは何もないよっ?すごく優しい友達だし」



そう言えば、伊吹くんは少し困ったように笑ってから、言いにくそうに口を開いた。



「夏芽さんは、鈍感なんですね……。なるほど、綾都さんが毎日悩んでるわけだ」



そりゃあ、行かせたくないよなぁ〜、と頭をかかえる伊吹くんに首を傾げる。

鈍感って……。

いやいや、私、直感は冴えてるほうですけど。

そんなコメントは喉の奥にしまう。





「最近少し話しただけの男性が二人でカフェに行こうって誘ってくるなんておかしい話ですから」



「え……そうなの?」




そういえば、そんなこと全然考えてなかった。

もしかして、昨日私と港くんが一緒にいたのって、外から見たらデートしてるカップルにしか見えないんじゃ……。



「本当にあっちは友達と思っているんでしょうか?」



思われてなかったらショックなんだけど、と叫びたい気持ちは我慢してブンブンと首を横に振る。



「友達だよっ!……たぶん」



少しでと語尾が自信なさげになってしまう自分が情けない。