どうして綾都がここに……?



「だーれに突き落とされたのかなー?」



そのまま私を抱き上げる彼にすべてを委ねても、しっかりと安定して首を支えてくれる。



「ずぶ濡れじゃん」


そう言う綾都だって。
傘も持たないで私を探しに来たの……?


黒髪から滴る水が、私の頬にぽたりと落ちる。


ほんとに……綾都が助けに来てくれたんだ。

綾都がそばにいる安心感と、今までの恐怖感がぶわっと溢れてきて、綾都の胸に抱きつく。




___あたたかい。




「……よく頑張ったね、お姫さん」



そんな綾都の優しい声と同時に、意識が薄れていった___。