「……ん……?」


ふと目が覚めた。

目の前は真っ暗で、何も見えない。おまけに、床が硬いし、寝返りもしにくい。


___あぁ、そっか。キャンプだった。


自己解決しながら、すっかり覚めてしまった目。

頭上に置いてあったスマホを開くと、ロック画面には2:00の数字。


うそ、真夜中じゃない。


明日……いや、今日の起床時刻は、しおりには7:00と書いてあったはずだ。

それまで、あと5時間もある。


うぅ……寝るしか、ないか……。


眠る以外の選択肢がないからと、羊を数えたり深呼吸を繰り返したり、一生懸命眠る努力をしたものの……。




「……ね、寝れない……」



テント内に私以外の子の寝息が聞こえる。その中で、眠れなくて目をギンギンに開いている私。


このまま朝まで過ごすなんて……。


よし、と覚悟を決めた私は、むくりと起き上がると、寝ている子たちを起こさないよう、忍足でテントから出た。


急に立ち上がったからか、ふらりと立ちくらみがしたものの、なんとか足を踏ん張って靴を履く。




「さ、さむっ……」



秋の夜は、とても冷え込んでいて、とても薄いシャツ一枚で外に出るものじゃなかった。

でも、もう一度テントの中に戻って上着を取りに行くのは面倒だし、それに他の子を起こしてしまうのも申し訳ない。