「へー?はさみ、出してないのに?」


「っ、すぐに片付けたの」



底が見えない彼の瞳は、逆に他人の全てを見透かしているようだった。

もちろん、私が嘘をついているということも、きっと見透かしてる。




___あぁ、気づいて欲しい。




嘘をついているのは自分。
気づいて欲しいと思っているのも自分。


矛盾した自分の行動が、自分を嫌いにさせる。



「ふーん。まあなんでもいーけど、帰るから、さっさと準備してくんない?」



俺の労働時間がどうこうと、そんなことを呟きながら水上は立ち上がる。


「っ、うん……」


でも、もうそろそろイラついて仕方がない。

犯人、絶対に突き止めてやるんだから……!



私は心の中で静かに拳を握って、教室を後にした。