あまりに驚きで声が出ない。

まさか、いや……そんなはず……。


数週間前、ネックレスを持ち上げて私に言ってくれた綾都の言葉が脳裏に蘇る。




『昔みたいに、次会う時まで……これが、夏芽を守る』



忘れていたけど、綾都がなぜそんなことを言ったのか……全てがつながった気がした。



だって、ずっとずっと、あの頃から大切にしていたうさぎのぬいぐるみのタグに書かれていた文字、それは……。



【あやと】



持ち主の名前だった。

ずっと気づかなかった。

昔、あの公園で知り合った子の名前も知らずに。でも、あの子は私の名前を知っていたみたいで。


毎日公園に顔を出すたびに「夏芽!」と私の名前を呼んで笑ってくれたんだ。


あの子が綾都だったとするならば。




綾都に初めて会った日、綾都は私が抱いていたこのうさぎのぬいぐるみを見て……いや。


あくまでも綾都のみがわりであったうさぎのぬいぐるみに縋って泣く私を見て、このぬいぐるみを破り捨てた。



それは、昔の約束が果たされたからこのぬいぐるみはもういらない。俺に縋れって……そういう意味だったのかな。