綾都が私を生かしてくれて……そんな私が生きてていいのかなって。

綾都がこの世界にいなかったら、私なんている意味がないんじゃないかって。


ふとそんなことを思ってしまう夜があった。


その度に"アンタまで死ぬつもりですか!"そんな伊吹くんの必死な叫び声や、綾都がくれたネックレスが視界に入ってきて、「あぁ、生きなきゃ」って、そう思い直す。


その繰り返し。


どれだけ生きなきゃいけないって思ってても、生きてていいのか、と自問自答を繰り返す日々に、前を向かなきゃと感じていた今日。


抱きしめていたぬいぐるみのしっぽのところに、カサリ……と何かが触れて、とっさに形をなぞる。


なんだろう、と思ったのも束の間。

あぁ、タグか……と、再び枕に突っ伏そうと思ったけれど、それを阻止するかのように心がざわめいた。


タグだっていうのはわかるけど、どうしてかそれが気になる……。


ほぼ無意識にぬいぐるみの背中を向けて、しっぽについているタグを見たその時だった。



ドクン……と、心臓が大きくひと鳴りする。



「どういうこと……?」



思わずそんな声がこぼれて、タグに書いてある文字をなぞる。

マジックで書かれた、少しだけ廃れた黒色のある文字。