「水上さん、俺の手は至って綺麗なんですけど……」


「はぁ?マジどーでもいい。調子乗んなよ?」


「はあ……」



やれやれ、と言った表情でため息をつく北斗さんは、絶望したように床に手をつく浮本さんに歩み寄った。



「ここで死ぬか、警察か。どっちがいい?」


「……」



浮本さんは、何も言わずに床を見ている。

そんな彼女を見て、北斗さんはピストルを額に当てた。


……嘘。浮本さんのこと、殺してしまうの……?


私を殺そうとした挙句、綾都のことすらも痛ぶって……それでも笑っているような悪人とはいえ、もとは私のクラスメイト。


クラスメイトが死んでしまう光景なんて、見たくもないよ……。



「……夏芽」


北斗さんや伊吹くん、そして、綾都が、驚いたように私のことを見つめていた。


きっとそれは、私がとっさに浮本さんと北斗さんの間に立って、北斗さんの向ける銃口をずらしていたから。