「えー、転校生を紹介する」



き、来た……。
ごくりと唾を飲み込む。

朝、学校に着くと、水上は「先に校長室行くから」とだけ言い、私と別れた。


そして、朝から教室は水上の話題で持ちきり。



朝からイケメンがいただとか、イケメン転校生だとか。

全部水上のことなんだろうなぁ、とか思いながらも、心と軽く挨拶を交わして自分の席についた。



そして、今、HRが始まり担任がそう言った瞬間、教室内が一気にざわめきだした。



女子は慌てて身なりを整えだすし、男子はワクワクした表情だし。



「じゃあ、入っていいぞー」



そんな先生の声がした後、教室のドアが、控えめに開けられる。





「ッキャァァァァア!!!」




それとほぼ同時に教室内に響き渡る、女子の黄色い歓声。

う、うるさい……!

慌てて耳を塞ぐけれど、塞いでもなおうるさいくらい、女子の悲鳴は凄まじいものだった。



そして、教室に入ってきたのは___





「水上綾都です」




相変わらず胡散臭い笑みを貼り付けた私のボディガード、水上だった。

い、いやいや……そりゃ、こんなイケメンが学校にいたらみんなもびっくりするよね……。


今まで至近距離でしか彼の顔を見なかったものだから、少し遠くから見て、改めて彼の顔がとんでもなく整っているイケメンだということに気づいた。




「じゃあ、水上の席はあそこな」



そう指示された水上の席は___って、え!?私の隣……!?

なんでよりによって、隣の席なのよ……!



教室中の黄色い声と注目を浴びながら、私に笑顔を向けて教壇から一直線にこちらへ向かってくる水上。



うっ……そんなに私のこと見てたら、なにか私と関係がある人だってバレちゃうよ……!



慌てて目を逸らすと、私は完全に水上との接触を遮断するため、机に突っ伏した。