ずっとずっと、自分自身に問いかけてる。

___心は捨てろ。って。


秘密警察部隊は、表向けの警察が諦めるくらいの事件捜査や尋問を行ったりする裏の部隊。

つまり、非政府の組織である。

___だからこそ、この部隊の中に日本国憲法は通用しないし、ルールや規則があればあるほど真相が暴かれる可能性は低くなっていくのだ。


その部隊のトップ___それが、俺。


もちろん俺が捜査に加わることはあるし、潜入、尋問___あらゆるものに手を出してきた。



憲法は通用しない、ということは。



「……浮本組、の人間だね」


パシュッ……と空気を裂く音と共に、黒ずくめの男が地面に倒れた。


___そう、憲法が通用しないということは、敵を排除するためなら、真相を暴くためならばなんでもアリ。

つまり、人も殺すことになる。そんな職業だ。



……俺は小さな頃から人を殺めることにすら抵抗がないように教育されてきた俺は、何をしても、何をされてもどうも思わない。

だからこそ俺は、トップに立てられたのだと思う。



人の心がない、ただの人形として。



誰に思い入れをすることもなく、淡々と命令をしていく俺を尊敬の眼差しで見る奴。

なんでお前が、と、圧倒的な俺との差に嫉みを持つ奴。

そして、俺の指示に従わずに"人として"正しい行いをした挙句、結局相手に殺され、死んだ奴。



何百人もの部下と関わり、死んだものを弔ってきた経験から思い知らされるものは、やっぱり俺に

"悲しい"

とか

"悔しい"

とか

"嬉しい"


とか、そういう人間らしい感情がひとつもないんだってこと。