文化祭当日。
 体育館の舞台そでから客席をのぞくと、もうすでにお客さんがだいぶ入ってる。
 うわぁ、緊張するな。
 あれから気合を入れなおして一生けん命練習はしたけど、やっぱりドキドキが止まらない。
 私は左手の薬指にはめた指輪に目をやった。
「お嫁さん」になるのはまだ早いけど、これは蒼くんとの大切な絆。
 蒼くん、もう客席にいるかな? 失敗しても笑ったりしないでね。私のこと、どうか見守っていてね。
 
 ステージに立つと、大勢の人の拍手が私を出迎えた。
 自分に自信がなくて、遠回りばかりしてた私が奏でる恋の歌。
 つたないかもしれないけど、心をこめて歌うから。
 少し切ないギターの音色に合わせて、私は口ずさむ。

 私はあなたのそばにいるよ。
 たとえ遠く離れたとしても心はいつだっていっしょだから。
 だからどうか悲しまないで。
 私がその涙を優しい愛に変えてみせるから。
                         おわり