余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。

「今度こそ治療を受けていただきますよ」

「わっ!? ちょっ……!!!」

 エレノアはユーリを仰向けに。着ていた茶色のチュニックの裾を捲り上げた。案の定そこには(あざ)が。胃から(へそ)のあたりにかけて赤黒く染まっていた。よくよく見てみれば右膝も擦り()いている。

(頭部と腹部は同時に。その後に膝を治療していきましょう)

「………………」

 ユーリはそんなふうにしてテキパキと診察をこなす彼女の横顔を眺めていた。小さな口を開きかけては引き結んで。

「?」

「っ!?」

 目が合うなりユーリは勢いよく顔を逸らした。エレノアはそんな彼を見て可笑しそうに笑う。

「安心して。極力痛みはないようにするから」

「……別に。痛いのなんて平気だ」

「あらそう? ふふっ、頼もしい限りね」

「っ!? ちょっ……!!」

 エレノアはユーリを膝の上へ。所謂『膝枕』だ。白いカソックの上に紅髪が広がる。

「やっ! 止めろよ! こんな――」

「大人しくなさい。痛いのは平気なのでしょう?」

「~~っ」

 ユーリはぐっと息を呑んで、行き場を失った両手をキツく握り締めた。その頬は紅く、彼の髪色に近い色合いになっている。

「結構です。そのまま楽にしていてくださいね」

「……………………………………………………無茶言うな」

「何か?」

「…………別に」

「ふふっ、それでは始めます」

 エレノアは緑色の魔法陣を展開。右手をユーリの頭の上に、左手を腹部に(かざ)した。

「同時?」

「はい。同時です」

 戸惑うユーリを他所にエレノアは治療を進めていく。そんな彼女のもとにレイが向かう。サポートをしようと思ったのだろう。