美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 神崎さんとの出会いと思いもよらぬ提案。店を支店と合併させて、いずれ独立できるよう持っていこうと言ってくれたこと。

 信じていいのかわからないこと。赤裸々に話した。

 叔父さんは経営に関して、先代の店長から色々教わっていて、神崎造船の船で花を仕入れているのも理由があってのことだ。

 亡くなった叔父さんのお母さまは神崎造船の先代の奥様の親友だったそうだ。それもあって、神崎家ではうちを昔からごひいき頂いているというわけだ。

 だからといって、副社長の彼が私を援助するのはちょっと違う。しかも畑違い。方向性が違うことを口出されたとして私は資金援助してもらったが故断れないなら意味がない。

「それは、それは……さくら気に入られたな」

「……え?」