美しき造船王は愛の海に彼女を誘う


 私が九州に戻る直前のことだった。アポもなしに突然区長が訪ねて来て、その文化祭典に出資してくれないかと頼んできた。

 このベリが丘のノースエリアでも有名な洋館の主、神崎造船社長の力を借りたいと言うのだ。もちろんこの会社のことをわかっていてのこと。

 うちは新しく開発しているサウスエリアのサウスパークに面した港へ着く船のほとんどを管理している。ほとんどが神崎造船の船なのだ。

 資材運搬からレジャーボート、豪華客船まで。あらゆる種類の船を管轄している。そして、ビジネスエリアのツインタワーの上に本社がある。

 区長が目を付けないはずもない。セレブリティあふれる神崎家。だから忙しいが断っても無駄だとわかり、通して話を聞いたのだ。

「社長がいらっしゃらないのに決めてしまわれたんですか?」