「……あ、あの……」 私が少し身体を後ろに傾けた時、名取さんが入ってきた。 「ああ、すまない。長くなってしまって……仕事の電話だった」 神崎さんは彼をチロリと見て笑った。 「……また女性を泣かせるなよ」 名取さんはびっくりしたんだろう、座ってひざにのせたタブレットをゴトリと音を立てて下に落とした。 「な、何を言うんだよ、神崎……」 「お前は昔から嘘をつくときは右鼻がぴくぴくする。女性からの電話だったんだろ?前も言っただろ、二股はダメだぞ」