「何これ!」

 オーベルージュで朝食を取ったあと、彼は私を館内にあるセレクトショップへと連れて行った。ここは結婚式も出来るので、こういったところが館内にあると説明された。

 すでにいくつかのブランドのドレスと装飾品、靴が用意されていた。

「今日は両親に会ってもらうよ。もちろん、先に君の伯父さんの家に行くけどね。それなりの準備をここでしようか」

「こ、こんなの……私お金……」

「ああ、そうだ。君には言っておかないといけないね。昨日も言ったけど、さくらは僕の世界に入る」

「え?」

 僕の世界って何?彼は嬉しそうに私を見ながら話す。

「君は神崎蓮の妻となる。つまり、いずれは神崎造船の社長夫人となり、ベリが丘を代表する女性のひとりとなるんだ。必要経費はすべて僕が出す。悪いが従ってもらうよ」