あれからまた半年が過ぎ、ベリが丘を離れてもうすぐ一年になろうとしていた。 約束の日はあのオーベルージュの部屋で逢おうと彼から言われていた。 結局、一年を機にこちらの事務所を閉めてベリが丘に帰る決心ができずにいた。 仕事は途切れずオファーがあり、やってみたい仕事も多かった。 ある雑誌社のインタビューがあり、受けた時のことだ。 「神崎造船の副社長とのお噂について伺いたいのですが」 切り出されて驚いた。