「今月もギリギリね……そろそろ店を畳むべきかもしれない」

「伯母さん!」

 さくらは悩んでいた。店の経理状態は本当に良くない。

 この店の客は神崎造船のような古くからのお付き合いのあるセレブが数件、サウスエリアの一般家庭向け、あとはまれにビジネスエリアのお客様向けだ。

 何に悩んでいるかと言えば、どちらを主として店づくりをするかなのだ。つまり、高級住宅街で売れる花と一般的に売れる花とでは内容にかなりの違いがある。

 どちらの需要も考えて仕入れをすると膨大な金額になるし、高級住宅街向けの花は一本が高価な花も多い。事前にご予約いただければ何とか出来るが当日や前日では間に合わないこともある。