僕は母さんへの花束を帰ってくるとすぐに渡した。

「あら、どういう風の吹き回し?素敵な花束ね。息子からもらうのは初めてだわ。嬉しいものね」

 母はにっこりとほほ笑んだ。我が母親ながら若々しく綺麗だと思う。

 僕の顔は母によく似ている。

 幼い頃から男なのになぜか綺麗だと褒められる。今日もそうだが、俳優によく間違われたりする。

 正直複雑な心境だ。だってすべてこの遺伝子のお陰でしかない。

「初めて?そうだったっけ?」

「そうよ。あなたが選んできたのかしら。この花束、ちょっと意味があるわね」