とある私立高校でのことである。
 この学校のバレーボール部は、毎年全国大会に出場しており、知名度が高い。今日も放課後、近く行われる全国大会に向けて、猛特訓が続けられていた。
「よーし!あと百球いくぞ!!」
「せ・・・・先輩・・・・もう勘弁してください」
「なに弱音吐いてんだ!レギュラーから外されたいのか!いくぞ!!」
 バシッ!!
 先輩の容赦ない剛速球が、女子部員の顔を直撃した。
「痛っ!!」
 彼女は痛さに耐え切れず、うずくまって顔を両手で覆った。
「泣いてる場合じゃないだろ!さっさと立て!!」
 先輩が厳しい口調で叫んだ。
 
その時だった。

 チン!チン!ドン!ドン!チン!ドン!ドン!
「コンジョーなんて、古い!!古い!!」

 太鼓にラッパ、トライアングルを持った、チンドン屋のような奴ら三人組が、体育館に侵入してきた。
「気楽にいこーぜジブンをタイセツに!!」
 チン!チン!ドン!ドン!チン!ドン!ドン!
「なんだお前らはー!!」
 先輩は怒鳴って、このチンドン屋にボールをぶつけた。
 ボカッ!!
「いてて」
 チンドン屋の男は、ボールのぶつかったお尻をさすりながら、振り向いた。
「ねーねーみんな、そんなにイッショーケンメーやらなくても、もっとラクーにジョータツする方法を考えようよ!」
「余計なお世話だ!!」
 先輩は頭にきて、チンドン屋に向けてボールを取り出しては何発もぶつけた。
「出て行けー!!」
「コンジョーなんて、古い!!古い!!」
 ドン!ドン!ドン!
「コンジョーなんて、古い!!古い!!」
 ドン!ドン!ドン!・・・・
 チンドン屋は、嵐のように去っていった。