ドン!ドン!ピー!ピー!ドン!ピー!ピー!
「ウンドーカイで、順位つけるのヤーメーロ!!」
 小学生たちが必死に競技しているさなかに、何やらおかしな格好をした人たちが入ってきた。
「ほ・・・・本当に出た!!」来賓たちは、青ざめていた。
 ガン!ガン!ドン!ドン!
「キョーソーが、サーベツーをひーきおーこすんダー!!」
 左上位がトラックの中央に乱入し、騒ぎ立てるため、運動会は続行不可能な状態となってしまった。

 その様子を、晴明は、悲しそうな表情で見つめていた。晴明は、たびたび学校に変な姿で登場する父親に対し、耐え難い羞恥心を抱いていた。ただのチンドン屋ならまだしも、その姿で到底立派とは言えない、現実離れした理念を吐きながら校舎を歩き回る風貌は、どう見ても進歩的には見えなかったからだ。なおかつ、あれが自分の父親であることも、みんなすでに知っていたのだ。
(父さん・・・・やめてくれよ。またみんなにからかわれるだろ・・・・父さんのことでいつもバカにされてるのは僕なんだからな!!)
 すると隣にいた友達が、彼を茶化すようにして言った。
「おい晴明。お前の父さん、また来たぞ。なにバカなことやってんだ。いろんな所であんなことしてるんだって?日本をつぶそうとしてるんだって?日本を征服しにやってきた正義の味方?おかしいんじゃない?」
 友達が、断片的に聞いたことをネタに、晴明を罵り続ける。晴明は赤面していた。