「晴明!昨日はよくも俺たちを脅かしてくれたな!超能力が使えるからって、俺たちを振り回すのは許さないからな!」
 クラスメートたちが、晴明を責め立てている。
「悪かった。もうやらないから、許してくれ!」
「もうやらないでは済まされないぞ!学校を壊すと言ったじゃないか!誰もいない時にやればいいだろ!夜中にやれ夜中に!そうすれば許す!」
 相変わらず晴明に無理難題を押し付けるクラスメートたち。しかし晴明は、学校では超能力を使わないと、笛美と約束したばかりだった。晴明は、頭を抱えていた。
(そ・・・・そうか!)
 ふと晴明の頭に勘が働いた。
(学校に誰もいなければ、誰にも危害を与えることはない・・・・)

 深夜、晴明は寝床から起き上がり、空き地へと向かった。学校までは約八〇〇メートル。ここからでも校舎を見渡せる位置にあった。晴明は校舎を見つめ、両手を校舎に向けて広げた。そして呪文を唱え始めた。
「学校なんかなくなっちまえ。学校なんかなくなっちまえ。学校なんかなくなっちまえ。学校なんかなくなっちまえ。学校なんかなくなっちまえ・・・・」
 晴明は呪文を唱え続けた。唱え続けること十分。まだ変化は見られない。
「学校なんかなくなっちまえ。学校なんかなくなっちまえ。学校なんか・・・・」
 さらに呪文を唱え続ける晴明。しかし校舎はびくともしない。
「あれぇ、おかしいな。よーし!学校なんかなくなっちまえ。学校なんか・・・・」
 晴明が汗だくになり、息を切らせていると、後ろから、誰か来たようだ。
「お前、何やってんだ?」
 父親の益材だった。