シャッターが下りた店が連なる商店街に、奇抜な格好をした連中が集まっていた。
 メタリックカラーの服装をし、太鼓を構え、政治理念の書かれたのぼりを背中に背負った蘆屋をはじめ、赤のストライプやグラデーション模様の服に、ラッパやトライアングルを構え、プラカードやハチマキを身に着けた安倍、津宵がいた。
「右上位撲滅を目指して、行くぞ!!」
「オーッ!!」
 メンバーは、威勢のよい掛け声をかけた。

 ドン!チャン!ドン!チャン!
「ニッポンジンはーシューダンシュギだからー、醜いセンソーに走ったんダー!!」
 ポコ!ポコ!ドン!ポコ!
「コジンシュギならそんなことにはならナーイ!!」
 ドカ!ドカ!ポン!ポン!
「愛国心持つナー!!」「愛国心持つナー!!」
 ピー!ピー!ブー!ブー!
「愛国心持ってるヤツはーテーコクシュギシャだー!!」

 左上位は、誰よりも民主主義を理解する、自称、市民の代表だという。戦後、着々と勢力を伸ばし、今日に至っている。そんな左上位を、週刊誌も話題にしていた。そのため、左上位の存在を知る人も、かなり増えてきた。しかしながら週刊誌は彼らの行動を面白半分に取り上げるだけで、政治的側面から彼らについて議論することを避けていた。
 この日も左上位は、こうやって街頭に出て、デモ行進を繰り広げていたが、その姿はとても政治に参加しているようには見えない。まさしくチンドン屋だ。