「そうか、『陰陽説』か。われわれは雑誌の記事を書く上で、日本人の振る舞いがどうしても理解できず、推測で書いてきたのだが、そうした事情があったのか。これで謎が解けたよ。これからもしばしば、情報提供を頼むぞ」
 ステイツ氏は三人との関係をより綿密なものにしようと考えていた。

 その時、突然蘆屋は甲高い声で、わめくように言った。
「ボクたちは、アメリカ様を、絶対正義とみなして、活動を続けていくよ。
 アメリカは絶対正義!! 日本は絶対悪!! 陰陽説で、そう定義づけられたのだ!!」
 蘆屋は威勢よく、右手の拳を振り上げた。

 蘆屋のカラ元気な姿を見て、ステイツ氏は思っていた。
(フフフ・・・・お前たち。あれだけアメリカにたてついていたくせに、冷戦が終わった途端、この有様かよ・・・・。
 お前たちは日本の帝国主義者を強く断罪しているようだが、人の事を言えるタチではないのではないのかね・・・・)