「ふんふんふふーん♪」

「楽しそうですねー」

「ふふふーっ、そう見える?」

「……どうやら私の提案は間違いじゃなかったみたいね」

「イエス!」

満面の笑みでそう答えると、一奈は引き気味に、良かったね、という。

一奈の言う通り、トリプルシュンにハマり出してからはや一ヶ月、毎日は薔薇色で、

世界が広がった。

今まで全然気にしていなかった流行りや、聖地巡礼やオタ活の楽しさを知れたりと、

幸せなことばかり。

「で?だれ推しなの?」

「うーん……全員好きなんだけど、やっぱり春くんかな」

「だと思った」

あ、さすが一奈。

一奈はよく周りの人に冷めてるとか、仲良くする気ないでしょ、とか言われがちだけど、

意外とそんなことなくて、誰よりも人の話を聞いて、理解して、その上で遠くから見守る感じで

接してくれる。