「うむ。推しとは、夢や目標を達成するためにこちらも努力を惜しまず協力したいと

思わせてくれる人物のこと。つまり、千歌の言う努力が実って泣くほど嬉しい経験を

彼氏とは違う、でも大好きな人物と達成できる、神のような存在!そして、数ある

アイドルの中から私がおすすめするのはこの歌い手グループ!」

息を切らすことなくそこまで言ってのけると、一奈は持っていたスマホを私に向ける。

「……とりぷるしゅん?」

「トリプルシュンね。リーダーの瞬が作ったグループでね、ラップと早口が得意な秋斗、

グループ唯一の可愛い担当の春の三人グループなんだけど、グループ名の由来が、

マンバー全員の名前に[シュン]って読み方をする感じが入ってるじゃん!ってなって

リーダーがトリプルシュンって名前にしたらしいんだけど……」

……ん?

「ちょっと待って?瞬と春はわかるよ?……秋斗は?どこに[シュン]があるの?」

「さすが千歌、頭がいい人は気づくのが早いですなぁ」

えへへ……。

「千歌の言う通り、秋斗の名前には[シュン]は入ってないの。でも、瞬と秋斗は

どれに気がつかなくって、そのままデビューしちゃったの」