「どうしよう一奈……マジメな話、このままだと一生変わり映えのない人生を送って

いくことになっちゃうよ……」

「ふーん……成績いいんだから、もう十分充実してる気がするのに……」

「え?」

「なんでもない。それよりどうしたの、急に」

目線はスマホに向けたままそう聞いてくれた一奈に、身を乗り出してペラペラと語り出す。

「私って基本的になんでもできちゃうでしょ?勉強に関しても運動に関しても苦労せずに

人並み以上のことをできちゃうから、努力が実って泣くほど嬉しい経験なんて

したことないし、彼氏ができても一年もしないうちに別れるし、その人に執着する

こともない。そんな人生楽しいと思う?」

ここまでほぼ一息でそう言うと、一奈はふむふむと言うように顎に手を当てて口を開く。

「……ふむ、おそらく千歌には推しが不足しているのであろう」

……長老?

「推し、ですか……」

色々と突っ込みたいことはあったけど、大真面目に話を続ける一奈を前に、

私は姿勢を正してゴクリを息を呑む。