雨が降っていると彼女のことを思い出す。
これは僕の10年前の話だ。


僕は大学3年生の松浦大輝だ。僕には付き合って2年目の彼女がいる。
彼女との出会いは天文サークルだった。天文サークルの飲み会で彼女の雰囲気や性格に惹かれて、僕は告白し、今まで付き合っている。

「みなー！」
彼女を見つけ、僕は走り出した。
今日は雨が降っている。

「僕、雨が嫌いなんだ。
　雨が降ると星が見えないし。
　僕、癖っ毛だから髪の毛がうねってしまうんだ。」

「私は雨が好きだよ！
　雨の匂いとか音とか全部好き！」

雨が降ると僕たちはいつもこの会話をする。

この幸せがいつまでも続くと思っていた。
続いて欲しいと思っていた。

でも、そんな幸せはいつまでもは続かなかった。

彼女が家に帰っている途中、交通事故にあったそうだ。彼女は亡くなってしまった。



それから、雨の日にはいつもの会話を思い出していた。10年経った今でも、彼女のことは忘れない。この先も僕は彼女のことだけを愛している。